−左利きかぁ。ぜひ話を聞かせて。
習字、大嫌いでした。字が下手くそで。普通の人よりも凄い下手だから。凄い字を書くのが嫌いだったんですよ。
−そりゃそうだよね。
むしろ上手くなってやるみたいな感じで。別に入りたい部がなくって、試しに覗いてみたら、先輩たちが凄い歓迎してくれて、部長が左利きなのにいい作品を書いていて、それで圧倒されたから自分も左利きだけどこういうの書けたらって…。
−え、前の部長が左利きだったんだ。凄い人だね。ところでこれは、何を書いているの?
小篆文字と云って、字の前段階のものばかり書いてます。どういう風に書こうと考えて、愉しめるようにはなってきました。
−書道を初めて半年が経ったわけですね。
半年で、本当に書道って凄い堅苦しいイメージで、行書とかそういうのをすらすらと書くのばっかりと思っていたら、ダイナミックな作品もあって、幅広い世界やなと。いろいろやってみたいと思います。いつかああいうような行書みたいなしっかりした字も書いてみたいと思うし、前衛的な作品も書いてみたい。
左利きだからこそできる、右利きと違った線のかすれがあるから、ハンディじゃなくって魅力なんやって。人と違ったものが書けると云われて凄く嬉しいです。
−ほんとだねー。それは先生や先輩との、素晴らしい出会いがあったからこそなんですね。
左利きって損ばっかりしていますよね。改札口も、はさみも。ぎっちょとか云われて、イヤに騒がれたりして。いい思いをしたことは少なかったんですけど。そういう風に云われて嬉しかったです。左利きだからこそ、いいものが作れるやんか、って云われて…。