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ゲストが「私なりの大津線の楽しみ方」をそっと教えてくれるかもしれません。

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びわ湖・大津観光のメインイベントとしてあまりにも有名な外輪船「ミシガン」。陽気なカントリーミュージックや、大津の姉妹都市・米国ミシガン州ランシングからの留学生のハートウォーミングな出迎えが好評です。このミシガンが2005年の春、かつてない大規模なリニューアル。白い豪華客船「ビアンカ」もメニューを一新。びわ湖クルージングの魅力はますます高まっています。浜大津サマーフェスタやびわ湖花火大会な月の浜大津。2004年の就任後、さまざまな施策で大津を盛り上げる一人、琵琶湖汽船社長の中井保さんにお話を伺いました。

7月15日、琵琶湖汽船本社にて
ホスト=黒田一樹(NPO法人 京津文化フォーラム82 専務理事兼芸術監督)

「びわ湖には文化がある。大きいだけやなくて、世界的にもすごい湖やと思う」
中井保さん

ブランド価値向上をめざして

−昨年の夏に京阪電車から転籍されて社長に就任なさったと云うことですが、京阪電車ではどういうことをなさってらしたんでしょうか。

宣伝とか、ひらかたパークとか事業部系が長かったですね。

中井保さん
「花博や海外のレジャー施設の視察は本当に血肉になりました」
−鉄道の現場にはいらっしゃらなかったんですか?

運輸研修で1年いた程度やね。電車が好きで入社したわけやなかったし…。

−えっ、そうなんですか? 確かに京阪はいろいろな事業をやってはいますが、基本的に電車をやりたい人が入社するものだとばかり思っていましたが。

そういう人も当然居るけど、僕の場合は転勤がない云うのが一番大きな動機やね。(笑)

−たしかに、なるほど…なんでも人間にとっての二大ストレスは引越と葬式だとか。両方とも相当喪失感ありますものね。

そやね。それから経理に5年。これがひとつの基礎ですね。それから宣伝。僕は子供のころからずっと京阪沿線の住人やけど、地元、枚方とか寝屋川とかでの京阪のイメージってそんなに良くなかった。つまり、あんまりブランド力のある会社やなかった。だから、宣伝事業のときからその後、花博を担当したりひらかたパーク時代を含めてずっと、会社としての付加価値、「ブランド、クオリティを高めたい」云う気持ちでやってきましたね。それを担っているという自負もあったしね。
今は「流通とか、実際の事業でブランド力を高める」ということで、京阪ブランドも随分と上がって素晴らしいことだと思います。でも僕らのころは「沿線の付加価値を高めるのが事業部の仕事や」思ってやってましたね。

宣伝の後は少し建設現場を経験して、ひらかたパークに異動。このときは係長で一番若い社員でしたね。次に1990(平成2)年の花博。これは本当にいい経験でしたね。その後また宣伝課長をやり、ひらかたパークに戻り園長でひらパーのリニューアルを担当させてもらいました。それから事業開発にしばらく居てて、レジャー部門の統括をやってましたね。バブル崩壊の時にレジャー事業が厳しくなったので、若狭湾とか与島フィッシャーマンズワーフとか比良のロープウェイとか…レジャー事業の撤退の仕事の方が多かったです。

−昭和の時代に私鉄沿線には関西・関東を問わず、たくさん遊園地が花盛りだったのが、テーマパークの隆盛や少子化のなか、つぎつぎと閉鎖に追い込まれていくのは、私鉄沿線文化のもとで育ち、遊園地があこがれだった世代として非常に寂しい思いをしています。そんな中でリニューアルを手がけられたひらかたパークは気を吐いているようですね。

それは、今の担当者の努力です。もともと、ひらかたパークは菊人形で有名だったし、全国の遊園地でも有数の規模でした。でも、設備面でも営業面でもいろいろと問題がありました。汲み取り式の便所もいくつかあったし…かえって今の時代珍しいからこれで売り出そうかって冗談で云うてたぐらい。(笑)そこでせっかくやるんだったら、日本一の遊園地をつくろう、としてリニューアルしました。そやから、デザインもアメリカ人の設計事務所の人を使ったりとか、ヨーロッパの遊園地を見に行ったりとかしましたね。

−その外国人を使うとか、ひらかたパークにしろ、ミシガンにしろ、お客さまに喜んでいただく「中井流」の問題解決方法を会得したきっかけなどは、どのあたりにあるのでしょうか。

会得なんかしてないけどね。花博やろね、違う見方できた云うのは。世界的な博覧会の仕事に参加できたことで、いろんな才能を持った人と会えたし、電車屋の中だけでは経験できへんこといろいろ経験させてもろたと思います。

中井保(なかい・たもつ)

1950(昭和25)年生まれ。大学卒業後、1974(昭和49)年に京阪電鉄入社。1990(平成2)年の「国際花と緑の博覧会」の「マジカルクロス」などで京阪側バックヤードを担当。その後、海外のレジャー施設を視察した成果を、園長に就任したひらかたパークのリニューアルとして結実させるなど、主にレジャー畑を歩む。
2004(平成16)年から琵琶湖汽船に転籍、社長に就任。自ら音頭を取りリニューアルした「ミシガン」はさる7月22日、累計3000万人の乗船客を迎えた。また土日の「ビアンカ」で土日に大津と長浜を結ぶ「びわ湖縦走クルーズ」をスタートさせるなど、新機軸を採り入れている。

琵琶湖汽船WEBサイトはこちら。
琵琶湖汽船

ミシガンのリニューアルとびわ湖の魅力

−この春、ミシガンはリニューアルしましたね。どう変わったのでしょうか。

そのままではお客さまが満足できる状態ではなかったので、必要なとこをやった云うことですね。1982(昭和57)年に就航して、最近はソフトもハードもあまり手を入れていなかった。やっぱり、お客さまには満足していただくにはそれなりのクオリティのあるサービスを提供しなくてはいけない。

ずっと見てると鈍感になるんやね。さっき話したひらかたパークの汲み取り便所にしても、僕が係長になって初めて行った時、小学校の遠足が朝イチであった、そこで汲み取りやってんのよ。子供が「くさいくさい」云うて…こらアカンと思たわ。トイレを作ると高いしそんな予算はないし、そこで知り合いに頼んで「レンタルの水洗便所を何とかできへんか」云うことで…僕のひらかたパークの仕事はくみ取り式便所を最新の便所にしただけの話です、云うたけど。(笑)

ここも同じような環境やった。女性が対象ですが、年齢高うなったら和式が辛い云う方がいらっしゃるので、洋式にするなど…。いかにしてお客さまのニーズに答えるために必要なことをミシガンでもやったということですね。

−就航以来の大々的なリニューアルだったんですね。リニューアルの前後をくらべてみて、お客さまの反応は上々ですか?

お客さまにしたら寧ろ「リニューアル云うたかて、まだこんなやねん。今まで何しててん」云うことになりますから…。
あくまでも自分んとこで、お客さまの水準、クオリティをつねに意識しなくては。ビフォー・アフターだけではなく、つねに前に向いておかないと…。「今もまだまだ満足されてない」と思てやってかないと。つねに商品も含めて、お客さまのニーズに合わせたものを提供する云うことです。「今までの船の使い方でエエんか」云うことをつねに考えないとアカン。

リニューアルしたミシガン
リニューアルした「ミシガン」。屋上の「スカイデッキ」やアメリカ南部をイメージしたレストラン、カフェなど設備が充実。

たとえば、ビアンカも「びわ湖の豪華客船、イタリアンテイスト」云う売りやった。ところが、そういう売りでは、いまはお客さま見向いてもくれないよね。「立派な船でしょう、豪華なイタリアの船ですよ」それがどうしたということになる。それやったら…一回乗ったら終わり。では、「商品は何か」云うことであれば、びわ湖そのものを商品にしよう。船としてのビアンカでなく、びわ湖そのものの持つ魅力を商品にしていかないと。

でも、ミシガンの場合は観光船としての方向でがんばらなきゃアカン。そのためにソフト、サービスを充実させようと。
ミシガン以外は、びわ湖を商品とする。ビアンカでも、リオグランデでも、べんてんでも。びわ湖をいかに愉しんでもらうか云う方向で向かわんとアカンかな。湖でクルーズできるのはうちの会社だけ。びわ湖の場合、クルーズを愉しんでもらえる内容は十分にあると思います。

パソコンに向かう中井さん
「びわ湖の魅力は本当に奥が深い。知らなかったことがいっぱい出てきます」
そうやね、「京都に次いで文化財が多い」なんて、いつまで経っても京都に勝てないよね。京都の次やもん。「やっぱり京都やな」てなる。そんなやったら滋賀では、びわ湖を商品化して一生懸命やらなあかんよね。「環境の聖地・びわ湖」やと。ブランド力にしてもイメージ上のびわ湖は学校で習った「日本で一番大きなところですよ」云うことでしかない。もっともっとびわ湖の持つ自然、生活文化を知ってもらって「びわ湖ブランド」を高めてかな、どうしょうもないわけで…。

−本当にびわ湖のことは知られていませんね。大きさの話もそうですが、東京人にとっての滋賀県の中心地のイメージは米原ですし、新幹線からはびわ湖は満足に見えませんからね。大津が京都からこんなに近いことも知られていません。

それをみんなでやっていかんと。そういう意味では仏像の数とは違うと僕は思う…滋賀県が自慢するのは。びわ湖の付加価値、びわ湖ってすごい湖やな、思うよ。
具体的に云えば、世界的にも珍しい、湖の中で生活してはる沖島のような島がある。ここにうちの船でお客様を連れて行って、半日ゆっくりしてもらう。泊まってもらっても良いしね。これはもう商品になる。

−確かに、東京の人なんか、びわ湖のことをあまり知りませんね。大きさにしても、山手線より大きいって知ったら目を丸くしています。東京人にとっての湖のスケールって、河口湖、山中湖、芦ノ湖あたりが標準ですから。

箱根の湖は、どこから見てもそう大して違わないよね?
そやけど、びわ湖には文化がある。その中で、クルージングを愉しんでもらえれば、クルージングの付加価値がボーンと上がると思います。おかげさまで団体でいろんな予約をいただいたり…。

ビアンカ
「ビアンカ」は土日に長浜へ。湖上クルージングのひとときをどうぞ。

LOHAS志向に応えて

−先ほど、ちょこっと「環境の聖地」とおっしゃいましたね。

「持続可能な社会を作るために、持続可能な観光をどうするか」云うテーマで話し合うてるんですわ。マーケティングデータによると、「LOHAS」−Lifestyle Of Health And Sustainability、健康と環境を志向したライフスタイルを意識した人が発生してます。そう云う人にどのような商品を提供して観光ができるか、と…。

−LOHASは今年の上半期ヒット商品番付でも大関に入りました。2005年、何らかのパラダイムシフトがあると僕は思っているのですが、個人情報保護法案の施行と京都議定書の発効、ISO15000と14000にあたるこの二つはかなり大きいんじゃないかと思います。かつてのように、高級大型車に乗るのはかっこ悪い、寧ろ小型車の方がインテリジェンスがある、もっと良いのは公共交通機関を使うことだ、というエグゼクティヴが増えてきた。ドイツなんかでは「私の趣味は環境」なんて云い切る人までいるそうで…。

そう。それは従来のシルバーではなくて、我々よりちょっと上の団塊の世代が対象となった場合。団塊世代の人は勉強が好きやね。ターゲットとして「LOHAS志向を持った人々」云うことやね。そう云う人が観光を考える場合、必ずLOHAS志向を持つ。勉強を絡めた観光になると…。
そういうわけで「自分の生活が中心でありたいと」思う30代の女性よりも、環境と健康を考えたアクティヴシニアを対象とした場合、「環境」はキーワードになると思う。

−そのコンセプトからは、どんなコンテンツが考えられますか?

そやなあ、いまビアンカでは、「びわ湖縦走クルーズ」を就航しています。その船上では、「びわ湖の中でヨシがいかに大変な状況におかれているか」云う近江八幡のヨシネットワークのお話や、葦笛のコンサートをしたり、びわ湖で採れるものを食材にしたお弁当を食べてもらったりして、そして、さっきの沖島のすぐそばの水道を通過する。ゆったりとしたクルーズ。最高ですよ。
とにかく、今年の冬やろう云うのは、日本でもここにしかないと云う早崎にある純粋なビオトープ。そこには10月末からは白鳥が来ているので「白鳥クルーズ」。船でコハクチョウを見に行くなんて、ウチしかでけんわけやから…。また、沖島から長命寺に行ったら、あの近江八幡にいける。湖から水郷から入る「水郷めぐり」など、琵琶湖汽船にしかできないことをやっていこう思ってます。

−いろいろな企画が矢継ぎ早ですね。

何でも宣言せんとアカンやね。びわ湖しか体験できへんことをやってこと思うのが、会社の成績にもつながるとちゃうかな?「豪華船・ビアンカ」やったら、他のサービス施設との競合になるしね。

−ビアンカは今年から長浜に向かって出港していますね。そもそもの琵琶湖汽船の起源だった、浜大津−長浜間の鉄道連絡船のようです。

そうです。当然新快速よりは遅いですけど、こちらはノンストップや。(笑) それに、新快速では沖島を船上から見ることなんてできません。
そんなんで、びわ湖は十分、まだまだ賞味期限は切れてへん。「賞味期限を切らそう」云う人間の営みがあるわけで、これでは持続可能な社会が持続可能ではなくなる。びわ湖を保全するのは持続可能な社会を保全することにつながる。我々自身もびわ湖の環境を意識せざるを得んわけですね。たとえば我々でも、ディーゼルエンジンの排ガスをきれいにするようにと今厳命しています。
究極には風力、人力船ができへんかと思ってますねぇ。環境にも良いし、修学旅行でも、神社仏閣行ったことよりも、みんなで枕投げやったりとかそんなことの方が覚えているでしょう。皆でびわ湖で船漕いだ。いい思い出なると思うけどね。

ミシガンの水彩画
社長室に飾られた「ミシガン」の水彩色紙。

−そう云えば、滋賀県が環境先進県ということを掲げていて、実際にその価値観を共有している背景の一つに、ビアンカの隣に泊まっている「うみのこ」の存在があるようですね。先日の新聞にも載っていました。

うみのこは、滋賀県の子には、ものすごいいい思い出らしいよ。滋賀県の人が集まったら必ずうみのこの話になるんやって。「俺は冬」「俺は夏」とか。

「びわ湖ブランド」の確立が持続可能な社会を作る流れの、LOHAS志向の観光にも、十分一致してる。時代のトレンドに合うた観光が、十分に可能やと思うわね。
堅いことばっかりやないで。8月の2日(火)から7日(日)まで、ビアンカで「オールディーズライブ」をやります。スナック、ビール、ソフトドリンクが飲み放題で、1950〜70年代のアメリカのオールディーズで踊れますでぇ。船上パーティや。

−うわっ、いいなあ。京都のタクシーなんかでは、浴衣を着ていると10%オフなんて云う粋なサービスをしている会社があるのですが、浴衣で船に乗るなんてものすごくいいんじゃありませんか。

そうや。8月31日(水)まで、ミシガンショウボートに浴衣で乗ると半額やで。

−おお、10%どころではありませんね。見逃せない。

うみのこ
「滋賀県立フローティングスクール」が主催する学習船「うみのこ」は、1983(昭和58)年に就航。県内の全小学校の5年生が1泊2日の宿泊を体験。36万人以上が乗船しています。

ゲートウェイ浜大津へ、観光特区申請

ところで、この近辺や県もみんな、びわ湖観光に力を入れる云うことで一生懸命してます。地元浜大津観光協会でもにぎわいを取り戻すための、びわ湖の利用規制でもある河川法の規制緩和を含めた、観光特区を申請しました。湖岸をもっと観光集客できるゾーンにしようという事です。その中には大型観光バスの駐車場を整備して京都観光との連携を強化しようという企画もあります。

−実際、中心部から大津ICまでが非常に近い。これは山科から京都東ICと云い代えてもいいんですけどね、大津の利便性のいいところです。湖都古都・おおつ1dayきっぷの特典にもありますが、パーク&ライドが非常にスムーズです。

くつろぐ中井さん
「湖都古都・おおつ1dayきっぷを使って、クルージングにいらしてください」
団体バスがターゲットです。とにかくもう一度浜大津に何でも言いから集まってもらいたい。そこからスタートですよ。三井寺でも石山寺でもいい。大津をぶらぶらして欲しい。南禅寺や東山までもすぐですよ。船にも乗って欲しいしね。京都市内をうろうろするより、大津まできて停めるのが一番手っ取り早いでしょう。何しろここから京都のど真ん中まで23分で行けるんやから。

−おっしゃる通りですね。こうしてkeihan-o2.comにご出演なさるのをきっかけに、琵琶湖汽船と京阪電車との一体感ももっと強くなるといいですね。本線では今、義経ブームで「鞍馬連絡特急」が走っていますが、「ミシガン連絡特急」を復活させるとか…。

昔ありましたけどね。湖都古都・おおつ1dayきっぷの割引もありますし、もっと連携は模索していきたいですね。ぜひ、これからの琵琶湖汽船にも期待してください。

観光特区イメージ
観光特区のイメージ。

数々のレジャー施設を手がけてきた中井さんですが、改めて「びわ湖の奥深さに惚れ込みました」と語ります。リニューアルしてびわ湖の風を存分に浴びられるようになったミシガンは、湖都古都・おおつ1dayきっぷで割引特典を受けられます。ビアンカでの大津から長浜までの湖上クルージングも好調の琵琶湖汽船の企画は、今後もkeihan-o2.comで随時紹介してゆきますので、ご期待ください。

次回のo2talkもどうぞお楽しみに!


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